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前回に続いて「そば」のナイショの話です。 1月に旧知の高橋さんから下記のような案内をいただきました。ご存じの方も多いと思いますが、雄和町で手作りの穴窯で自然釉焼締め専門の幸炎窯を経営している方です。彼と私の付き合いは、25歳で独立して始めた弁当屋さんの時からです。商売の才覚があり、アイデアマンでもある彼は、10店舗のチェーン店を初め、新しい業態を次々と立ち上げました。ところが、昭和60年、そのすべてを売却して陶芸家を目指したのです。当時、あまりにも急な転身に周囲は驚きました。その後、平成2年には、雄和の地に窖窯を築き幸炎窯を興し、秋田・東北、東京・米国で個展を開き、米国ミネソタ大学では現地のハイスクールでワークショップを開催しました。また、秋田県美術展特賞など、公募展でも数々の賞を受賞しています。そして昨年には7番目の大きな穴窯が完成しました。
1月下旬に、久しぶりに訪れた幸炎窯は、雄和の自然の中で確実に成長していました。すべて彼が造り上げた建物と窯です。作品が展示されている手作りのログハウスや、大小2基の窯を見学し、いよいよ、一番奥の窯小屋食堂に入りました。彼とご子息が、我々ともう一組のお客様の為の仕込みに忙しそうでした。久しぶりの再会です。傍らに薪ストーブが焚かれていて、ゆったりとした心地の良い暖かみが全身を包み込みました。
その日、5人のお客の為にだけに作られたそばは、幸炎窯で焼かれた素敵な器に盛られて運ばれてきました。ゆっくりした時間が流れる中、そばの香りを楽しみ、自家製のにがりと塩でつくられた手作り豆腐を味わい、鶏がその日の朝に生んだとりたての卵をつなぎにつかった手作りの十割そばを味わい、最後に出てくるのがとろりとした餡の入ったそばまんじゅう。まさに、そばづくしです。また、彼のこだわりと、奥さん・ご子息3人でのもてなしは、時間のたつのも忘れ、私たちにとって最高の至福の時間となりました。彼の「ここに来てくれたお客さんが帰るときには、みな笑顔になって帰っていくんですよ」という言葉が深く心に残りました。
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